政治
現 在のリトアニア政治制度の基盤は、1992年10月25日に国民投票で制定されたリトアニア共和国憲法により築かれました。リトアニアには長く困難な歴史 があり、現在の政治制度は紆余曲折を経て築かれたものですが、、1918年の帝政ロシアからの独立時、1990年の旧ソ連からの独立時いずれも、リトアニ ア政治は新しい国として再出発するために、めまぐるしく変貌する国際社会に適応した憲法をつくらねばなりませんでした。
国体
リトアニア共和国憲法の第一条は、「リトアニア国は独立した民主主義の共和国である」と宣言し、近代民主主義国家の基本が定められています。国民の権利が尊重され、リトアニアの主要な政治機関である議会の議員と大統領は、自由な直接選挙によって選ばれています。
国政
リトアニアは比較的小さな国で、憲法には単一国家として規定され、その国土は一体とされています。地域政策と自治が機能するよう、リトアニアの国土は三段階の行政区分に分けられており、10の州、60の市、そして526の地区からなっています。州知事は政府によって任命されます。市の統括するのは市長と、4年に一回比例表制によって選出される市議会です。また、一番下の行政区分である地区は、市長が任命した地区長によって統括されます。
議会
セイマスと呼ばれる議会は、リトアニアの国政の最高機関です。議会は一院制で、141人の議員からなり、選挙で選ばれています。現行の選挙法により70議席は全国比例代表制で、71議席は小選挙区制で選ばれます。議会議員の任期は4年で、議会の多数党や少数党のバランスにより、政治的な話し合いの後に、共和国大統領が首相候補を議決します。一般に首相候補には、多数党の政治家または多数党が支持する候補者がなります。議会は最高の権威を所持し、代議制であり、憲法制定、憲法改正の提案、立法、政府綱領の検討、政府の行為の統括を行い、毎年国家予算の承認を行います。また、大統領が提案した首相候補を承認または不承認し、首相と大臣の不信任決議を行うこともできます。更に議会は大統領を弾劾し、退任させることもできます。
共和国の大統領と政府
リトアニアの行政権の中心は5年任期で選出される国家元首である大統領と、首相がつかさどる政府です。
一見、リトアニアは典型的な議会制共和国に見えますが、政府の構成は直接的に議会の議席数に基づいて多数党で占められており、立法権と行政権が明確に分離されておらず、議会議員が大臣を兼ねることは違憲とされていません。
他方、リトアニアは典型的な議員内閣制ではありません。1992年の憲法制定により、大統領が象徴ではなく強い権威を持つことと定めました。憲法によれば、大統領は直接選挙で選ばれ、議会議員ではなく国民が大統領に国政を委任します。
大統領の権限は、主に外交と組閣に際して重要な提案を行うこと、首相および大臣の任命を承認することです。議会が制定した法律も大統領の調印後に発効します。
政党
リトアニアで最初に政党が誕生したのは19世紀後半で、1918年の独立宣言後、政党活動が非常に活発になりました。1940年にはソ連がリトアニアを占領して、政党は消滅させられ、1990年の独立後、政党は復活し、短期間に民主国家の主要な政党が結成されました。政治思想は広く左翼の社会民主党から、中道の自由党、右翼の保守党まで及んでいます。